コラム
~きれいな石をさがして~Look for a clean stone
ルビーの価値はどうやって決まるか
2020年4月
皆さんもジュエリーショップの店頭などに並んでいるルビーを目にされることがあると思いますが、大粒なのに数十万円ほどで売られている石もあれば、0.5カラットほどの小粒ない石でも百万円を超える値札が付く例もあります。
このような価格の違いはいったいど子から来るのか、皆さんも不思議にお何時ではないでしょうか。
そこで今回はどのようにしてルビーの価格は決まるのか、その点について少しお話ししたいと思います。
まずルビーの価格を決める要因は主に以下の5点です。
- 産地(もちろんミャンマー産が世界最高峰です)
- 加熱の有無(加熱された石は非加熱石の半分から1/3ほどの価格で売買されます)
- 大きさ(ミャンマー産非加熱石で1カラットを超えるだけですでに希少です、1カラットオーバーの石は0.1カラット刻みで価格が上がってゆきます)
- 色合い(ピジョンブラッドと呼ばれる赤みの強い石は高値を付けます、色が薄くなると価格が下がりますし、逆に濃すぎてもいけません)
- 内包物やキズの多さ(自然にできたものなので、必ず内包物やキズがあります、が、適度な内包物は逆に産地を証明する手掛かりになり好まれる場合すらあります、キズがないルビーはありませんが、表面から肉眼で見えるキズは減点の対象です)
さて以上の基準で見ると、下のルビー1と2はどう違うのでしょう。
まずルビー1です。
(ルビー1:1.32カラット、ミャンマー産、非加熱ルビー、「ときいろ」サイトより、売価58万円)
続いてルビー2です。
(ルビー2:1.22カラット、ミャンマー産、非加熱ルビー、「ときいろ」サイトより、売価78万円)
どちらもミャンマー産、非加熱で1カラットオーバーのいい石ですが、大きな違いは「色合い」です。
ルビー2はピジョンブラッドではありませんが、それでもスッキリとした赤で、ピジョンブラッドの一歩手前といってよいでしょう、特にヨーロッパではこのようにピジョンブラッドより僅かに明るい色のルビーが好まれます。
これに対して1はどうでしょう、よく見比べていただくとお分かりだと思いますが、1は紫と赤の間の色合いで大変個性的な色です、ミャンマー特有の強い蛍光性もありますので、パッと見で目に焼き付く力強い石といえるでしょう、鑑別書でもPurple-Redと表記されており、かなり紫が入っていることがわかります。
では上記1と2を比べるとどうでしょう、一般受けするのは間違いなく2ですので、78万円という価格はその点の評価が加味された結果です。2の石が1より0.1カラット小さい割に高いのは、このような色に対する高い評価があるからです。
ただし上記は価格に換算したうえでの比較であり、石の美しさという観点で評価すると、別の見方があっていいと思います、2のように明るい赤がお好きな方もいれば、逆に1のようにギラギラしてショッキングな色合いを好む方もおいでです、美の世界は十人十色で正解というものはありません、より多くの人が好む石が高い値をつけるのは道理ですが、自分の審美眼で石を選び所有するものまた楽しいものです、そのような石が将来あらためて評価され、高値を付けた場合の感慨はまたひとしおではないでしょうか。