Look for a clean stone

ヒスイとスピネル

2018年10月

今回はカラーストーンの中でもこのレポートでめったに触れることがなかった、スピネルとヒスイについてのお話しです。

スピネルはルビーと似た赤い石で、18世紀後半あたりまではルビーと同じ鉱物と考えられてきました。それほどルビーとスピネルは似ています。どれほど似ているかといいますと、以下の写真ほど似ています。向かって左側はルビー、右側はスピネルですが、写真で見る限り判別するのは困難です。しいていえばルビーは深い色合いで、スピネルは鮮やかな赤というように、見た目の「赤の色合い」が最大の違いといってよいでしょう。実はスピネルは様々な色のバラエティがありまず、例えばオレンジ、無色、緑、茶色などが代表的なスピネルの色ですが、最も好まれて高値を付けるのはレッドスピネル、すなわち鮮やかな赤色をした石で、このような石はルビーやサファイア同様ミャンマーで採れます。

(ルビー)

(レッドスピネル)

このようにルビーとレッドスピネル見た目は似ているのですが、価格のほうは全然違います。以下は1975年から2017年までのルビーとサファイアの価格推移を表したものです。

左グラフ:ミャンマー産の最高級ルビー、1カラット石の価格推移、縦軸はドル。
右グラフ:ミャンマー産の最高級レッドスピネル、1カラット石の価格推移、縦軸はドル

注)上記グラフはアメリカの大手宝石商、National Gemstone社が発表する、アメリカにおける宝石の小売価格の推移です。

ご覧のように、例えば直近のルビーは1カラットの中粒の石でも50,000ドル(日本円で550万円ほど)はいたしますが、スピネルなら6,000ドル程度(同70万円弱)で手に入れることができます。グラフの形状に大差はありませんが、価格はといいますと、上記のようにおおむね8対1ほどの開きがあります。

人気化するスピネル

だからといって現地でスピネルがたくさん見つかるというわけではありません、確かに10年程前まではミャンマーの現地で、レッドスピネルはたくさん採れましたが、最近では高品位な石はめっきり少なくなりました。採掘が難しくなってきたということもありますが、価格の上昇を見越しオーナーが売りに出さなくなっていることも価格上昇の一因だと思います。2カラット以上の大粒なレッドスピネルはさらに希少品です、先日もあるお客様のリクエストで、バイヤーさんがスピネルの買い付けに行ったのですが、残念ながらご希望サイズの石は見つかりませんでした、もちろんお金に糸目をつけなければ売り物は見つかるのですが、それでは投資にはなりません。ちなみに、現在ミャンマー現地バイヤーから購入する際の相場は以下の通りです。いずれも高品質レッドスピネルの価格です。

  • 1カラット程度⇒15~20万円
  • 2カラット程度⇒100~120万円
  • 3カラット程度⇒230~250万円
  • 4カラット程度⇒450~500万円
  • 5カラット程度⇒800~900万円

注)輸出関税と輸入消費税込みの支払総額です、宝石商の店頭に並ぶとしたら、この4~5倍程度の値札が付くと思います。ただし投資という観点からみれば、宝石商価格はあまり意味がありません。重要なのは今後どの程度値上がりするかという点です。

昔の相場を知っている方がご覧になると高いと感じるかもしれませんが、これが現在のスピネルの相場です。これでもルビーとの対比でずいぶんと安値に放置されている印象で、スピネルは将来性にある石だと僕は思います。

ヒスイの王様「ロウカン」

続いてヒスイについても少しだけお話いたしましょう、ヒスイといってもピンからキリまであります。高値で売買されるのは「ロウカン」と呼ばれる石で、古代から中国で珍重されてきました。ロウカンの評価ポイントは緑の色合いと透明感です、ときどき宝石商の店頭などで「ロウカン」と称するヒスイが並べられていますが、ホントの「ロウカン」はあんなものじゃあありません、トロっとした深い緑と透明感、新聞紙の上に乗せると文字が透けて見えるほどの透明度が大切です。以下はミャンマー産のロウカンの写真です、石を通して下地のクロが透けてみえるのがお判りいただけると思います。

(ミャンマー産「ロウカン」)

このような本物の「ロウカン」と比べると、よく店頭でみるヒスイはまるでプラスティックのようです、そのような石はいくら大きくても投資対象としての価値はありません。

さきほども申しましたように、ヒスイの原産地はミャンマーですが、主な産地は山岳地帯に偏っていて採掘には危険が伴います。確か一昨年ヒスイ鉱山で崩落事故があり、大勢の工夫の方が亡くなりました。そのような事情もあり、ヒスイ、特に良質な「ロウカン」は年々採掘量が減ってきています。価格も上昇傾向にあり0.7カラットほどの小粒な石でも、現地バイヤーの売値で15万円ほどにもなります、1カラット程度の中粒石なら現地価格でも100万円はいたしますが、これは5年前の5倍ほどの価格です。2カラット以上の「ロウカン」を見つけることは難しくなってきましたが、もし見つかれば現地価格でも300万円を下ることはありません。

中国の経済成長は鈍化傾向にありますが、それでも次々に新しい富裕層が生まれています、かれらが好む「ロウカン」は、投資対象として面白いと思います。

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